Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

もしかして、バレている?


「綺月」


肩がビクッと跳ねる。


「最近何やっているか知らないけど、あなたは勉強だけに集中しなさい。
その環境もお金もあなたには充分与えているはずよ」


勉強が思う存分できる環境が、私の心も身体も苦しめていることに母はこれぽっちも気付いてはいなかった。

勉強が私を縛り付ける。

母が私に鎖をかける。

重い鎖は自分では壊せないほど強固なものに次から次へと変わっていく。

母がどうしてこんなことを言ったのか、朝学校に来てすぐに分かった。

廊下に大きく貼られたテストの結果がその理由を物語っていた。

テストの結果は次の日すぐに廊下に貼り出される。

今ではどこの学校もプライバシーの侵害だと言って個人個人でテストの結果を知らされる中、この有名進学校は生徒達の競争率を高めるためこうやって貼り出されていた。


「綺月が、一位じゃない」


菜穂の呟きが、どこか遠くから、現実世界の声じゃないように聞こえる。

今まで一位を独占してきた私は、三位に下がっていたのだ。