Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

そんな私の心の中の葛藤が菜穂にも聞こえたのか、菜穂は強く私の肩を掴んだ。


「今どんな顔してるのか分かってる?」

「…どんな顔?」

「凄く死にそうな顔してる」


菜穂の肩を掴む手が強くなる。

少し痛いけど、痛いと言っても今は離してくれそうになかった。


「勉強って沢山頭使うからお腹が減るんだよ。
お腹が減って食べるでしょ?そしたら、眠くなるの」

「なんの話…?」

「今、綺月はちゃんとそれやってる?
普通の日常を送れてる?」


菜穂に図星を突かれた。

確かにここ最近ろくに食べても寝てもいない。

だけど、私には一日が24時間じゃ足りない。


「私は、大丈夫だから」


それでもまた"大丈夫"を繰り返した。

私は菜穂の手を振り払うと早足で教室を出て行く。


「もう聞き飽きたよ、それ」


そんな菜穂の呟きを背に、私は昇降口に向かって歩き出す。