Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「綺月、クマ凄いけど大丈夫?」


───その翌日。

とうとう菜穂にも気付かれてしまうほど、私のクマはメイクで隠せなくなってきた。

昨日も寝ずに勉強していたせいだ。

でもこの大変な日々もテストが終わるまでの辛抱だ。

そう自分に言い聞かせ、心配する菜穂に「大丈夫」と私は答えた。

まだやれる、まだ自分は頑張れる。

"まだ大丈夫だ"

そんな風に自分で自分に暗示をかけていた。



────そして迎えた、テスト当日。

学校に行く前、珍しく母がまだ家にいた。

「おはよう」と挨拶をしても、パソコンの画面に夢中で気付いていなかった。

挨拶をしても帰ってこない家なんて家と呼べるのだろうか。

それでも私は気を遣って母の邪魔をしないように身支度を済ませ「行ってきます」と声をかけた。

母は私の声に気付かずにまだキーボードを叩いていた。

この家にまるで私は存在していないようで、朝から虚しくなる。

学校までの道のりを歩きながら私は眉間にシワを寄せる。

今日は雲ひとつない青空で、眩しすぎる日差しに目が眩んだ。