Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「よし!今日はここまで!」

「はぁー!疲れた!」


集中していた奈都は私の言葉で一気にだらけて床に寝転がる。


「次は数学やるからね」

「はーい」


帰る支度をしながら、私は開かない扉を見て一安心する。

今日もアイツに会わずにすんだ…よかった。


「ねぇ奈都」

「ん?」

「あの人最近帰ってきてるの?」

「あの人?…あぁ、お兄か!
夜中に帰ってきてるみたい、用意してたおかずとか朝起きたら綺麗に食べて行ってるから」


夜中って…妹をずっと1人にしてあの男は何やってるんだか…


「寂しくないの?家1人で」


私は寂しかった。

お姉ちゃんがいなくなったあの家で1人で勉強して、1人でご飯を食べるのは。


「寂しいよ。
でも寂しいって言ったらお兄絶対困るから。
だから言わない」

「偉いね」


私は奈都の頭を撫でると嬉しそうに笑った。