男は、自前のライターを何度もカチカチと音を立てながら蓋を開けたり閉めたりする。


「す、すみません…っ許して下さい、お願いします!」


偉そうに見下ろす男に、傷を負った男は何度も何度も謝り命を乞う。


「俺はさ、裏切るやつが嫌いなんだよ」


男の腕には一生消えない刺し傷が痛々しく今も残っていた。

男は泣き喚く男の髪の毛を乱暴に引っ張って、無理矢理顔を上げさせる。


「裏切るやつは、殺すって決めてんだ」


男の耳には青く光るピアスがなぜか片方にだけ付けられていた。

男はそのピアスを触りながら、どうやって殺そうかと考える。


「もう裏切りません、約束します、何でもしますからお願いです、許してください」


自分よりも遥かに体格に恵まれた、男らしい体つきはこの男の前では意味を持たない。

むしろ、自分よりも弱そうな男に土下座するデカい男の図が、余計に惨めにさせていた。


「何でもする?」

「はい、何でもします!」


男は口角を不気味に上げる。