Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

私が母親と二人っきりで話したことは、カオルも聞いていた。

話を黙って聞いているカオルはずっと腑に落ちない顔をしていた。

その顔をまたしている。


「…カオル?」

「多分愛してたじゃダメなんだ。
今まで以上に、愛してあげてください」


カオルの言葉に、母が振り向く。


「本当は行かないでくれって言いたいんだよ。
それでも綺月は帰るだろうから、俺も仕方なく受け入れるんだよ。一瞬でも傷つけたらすぐに返してもらういますから」


一応使っていたぎこちない敬語はすぐにため口へと戻っていた。

カオルの容赦ない言葉に、私は涙が出そうになるくらい嬉しかった。


「そうなったら、法に則って全力で返してもらうからそのつもりで」


母は負けじとそう言い返した。

────カオルに取られても必ず奪い返す

良いように解釈しているのかもしれないが、そう言われている気がして、確かに愛を感じた。

もう手放す気はないのだと母親の目から伝わってきて、カオルは少しだけ安心した顔をする。