Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「バイクに乗った方が速いけどどうする?」

「えっと」

「俺的には、歩きたいんだけど」

「私も歩きたい」


カオルがバイクの鍵を置いてきたことは、玄関の鍵置き場を見て気付いていた。

元々歩いて帰るつもりだったくせにと私は笑う。


「なんだよ」

「なんでもない」

「んだよそれ…じゃあ、はい」


カオルが手を差し出す。


「寒いのにポケットに突っ込まなくていいの?」

「いいんだよ、早くしろ」


いつも頑なにポケットに手を入れているカオルだが、今日は余程綺月と手を繋ぎたかったみたいだ。

そんな些細なことにも嬉しくて幸せな気持ちになる。

私はカオルと手を繋ぐと、本当に他愛の無い話をしながらゆっくりと歩く。

雪希が幸人に怒られたとか、菜穂が海斗の好物のスイーツを勝手に食べたとか、そんな話ばかりをしながら、気付いたら私の家が見えるところまで来ていた。