そんな馬鹿げた話をしていると、私が何度か廊下ですれ違ったことのある教師が、一面の窓ガラスの内側から、受験番号が書かれた紙を貼り出していく。
その瞬間、散らばっていた受験生達が一斉にその紙に向かって集まる。
「緊張するね」
「うん、でも大丈夫、絶対に」
私が力いっぱい奈都の手を握ると、奈都は意を決したように一歩を踏み出す。
高校を受験した中学三年生の私は、美月の代わりになれるように、興味なんてなかったが、母のために死に物狂いで勉強して受けた高校。
それでも、奈都にとっては諦めかけた、でも行きたかった高校だった。
私にとっては苦痛であっても、誰かにとってはそれが目指したい場所になることだってある。
私を縛り付けた塾も、奈都にとっては羨ましい場所だった。
私はもっと広く物事を見るべきだった。
自分は何不自由無い幸せな場所にいるのだと、もっと早く気付くべきだった。
勉強の楽しさも、やりがいも、教える面白さも全部教えてくれたのは奈都で、家庭教師になって欲しいとお願いしてきた時、断らなくて良かったと今心から思う。
「…あった…あった!あったよ!あった!!」
奈都は受験票に書かれた受験番号と、貼り出された合格者の受験番号を何度も見直す。
「綺月ちゃん、やった!あった!」
奈都は今にも泣き出しそうな真っ赤な目で、私の目の前で喜ぶ。
私の選択してきたことは、間違ってはいない。
お姉ちゃんをあの日追いかけなかったことも、お姉ちゃんの代わりになると母と約束したことも、家を出て行ったことも、どこかで少しずつ間違えていたのだと思っていた。
こうなってしまったのは、私の選択ミスだと。
それでも今、奈都が喜んでいるところを見て、何も間違っていなかったのだと思った。
間違っていたとしても、正解だった思えるほどの幸せな出来事に出会えたのだから。
この瞬間、私は自分の将来のやりたいことが見えた。
「おめでとう、奈都」
そして、ありがとう、奈都。
私はこの瞬間を絶対に一生忘れないと思った。
その瞬間、散らばっていた受験生達が一斉にその紙に向かって集まる。
「緊張するね」
「うん、でも大丈夫、絶対に」
私が力いっぱい奈都の手を握ると、奈都は意を決したように一歩を踏み出す。
高校を受験した中学三年生の私は、美月の代わりになれるように、興味なんてなかったが、母のために死に物狂いで勉強して受けた高校。
それでも、奈都にとっては諦めかけた、でも行きたかった高校だった。
私にとっては苦痛であっても、誰かにとってはそれが目指したい場所になることだってある。
私を縛り付けた塾も、奈都にとっては羨ましい場所だった。
私はもっと広く物事を見るべきだった。
自分は何不自由無い幸せな場所にいるのだと、もっと早く気付くべきだった。
勉強の楽しさも、やりがいも、教える面白さも全部教えてくれたのは奈都で、家庭教師になって欲しいとお願いしてきた時、断らなくて良かったと今心から思う。
「…あった…あった!あったよ!あった!!」
奈都は受験票に書かれた受験番号と、貼り出された合格者の受験番号を何度も見直す。
「綺月ちゃん、やった!あった!」
奈都は今にも泣き出しそうな真っ赤な目で、私の目の前で喜ぶ。
私の選択してきたことは、間違ってはいない。
お姉ちゃんをあの日追いかけなかったことも、お姉ちゃんの代わりになると母と約束したことも、家を出て行ったことも、どこかで少しずつ間違えていたのだと思っていた。
こうなってしまったのは、私の選択ミスだと。
それでも今、奈都が喜んでいるところを見て、何も間違っていなかったのだと思った。
間違っていたとしても、正解だった思えるほどの幸せな出来事に出会えたのだから。
この瞬間、私は自分の将来のやりたいことが見えた。
「おめでとう、奈都」
そして、ありがとう、奈都。
私はこの瞬間を絶対に一生忘れないと思った。

