「だって奈都が風呂入ってる時しか構ってもらえねぇじゃん」

「当たり前でしょ、私の今の優先順位は受験生の奈都なんだから!」

「その次は?」

「私の勉強」

「…その次は?」

「菜穂の留年がかかったテスト」

「綺月の俺に対する優先順位何番目だよ、キレそうだわ」


カオルは不貞腐れた口調で言うと、私の背中に自分の頭をグリグリと押し付ける。

子供かよと綺月はため息を吐いた。


「ねぇ、キャバクラのボーイ?のバイト辞めて本当に良かったの?」


カオルは私とちゃんと付き合う前に、夜職のバイトを辞めた。

全部ちゃんとすると言ったことをカオルは口だけにしたくないと言って行動で示してくれた。

夜職の給料が生活費のほぼ半分を占めていたため、最初の頃はかなりカツカツだったようだ。

最近はまた新しい工事現場のバイトを始めながら、正社員で雇ってくれる職場をひたすら探しているみたいだ。