Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

学校が終わり家に着くと、奈都はまだ帰ってきていなかったが、その代わりカオルが帰ってきていた。


「珍しい、この時間に帰ってるの」


カオルはいつものように床に寝転がっていて、寝息を立てながら気持ち良さそうに眠っていた。

大の男が床で寝ることがいかに邪魔なのか、いくら説明しても直りはしないので、本人にはあまり響いていないのだろう。

私はため息を吐いて、カオルの部屋にあるブランケットを被せてあげる。

人がいる気配を感じ取って起きたりしないカオルは、羨ましいくらいに睡眠が深いようだ。

綺麗な寝顔を見ながら、伸ばしっぱなしの髪の毛をいじったり鼻をつまんだりして、寝ていることを良い事に人の顔で遊んでみる。


「全然起きないし」


スヤスヤと眠るカオルは、なんだか子供っぽくて可笑しかった。

今なら何しても気付かなそう。

この時、私は何を思ったのか、吸い寄せられるようにカオルの唇にキスする。

抱き締められたくらいで息止めるような恋愛初心者の私が、今ここで寝ているカオルにキス出来たらちょっとは耐性つくだろうかと、意味不明なことを考えてしまったのだ。

寝込みを襲う女なんて、気持ち悪い。

そうカオルに吐き捨てられても良いレベルで気持ち悪いと、我ながら鳥肌が立つ。

カオルの唇から離れると、バレないかという不安と、自分からキスしてしまったという高揚感に心臓が速く乱れていた。