Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「もう一回、ギュッてしてくれない?」


細い髪の隙間から見える耳が驚くほど真っ赤で、俺は自我を保つためにゆっくりと息を吐き落ち着かせる。

そして、綺月がそうであったら良いと何度も思ったことを本人に聞く。


「お前、俺の事好きなの?」


誰かをこんなにも欲しいなんて思ったことは無かった。

欲が出る度に、俺と綺月は違うと一線を引いてきた。

でもやっぱり、欲しい。

綺月はその質問の意図が理解できなかったのか首を傾げる。


「好きじゃなきゃ、命かけたりしないでしょ」


何を今更?といったニュアンスを含めながら即答で答えた。

こういう時は赤くならないのか、と頭を抱える。

勉強ばっかりして男に免疫も無いくせに、なんで俺がお前に落とされるんだよ。

ため息が漏れそうになるのを堪え、今度は優しく綺月を抱き締める。


「マジで気が狂いそうだわ」


このまま押し倒してやろうかと欲求が顔を出すが、なんとか耐えていると、綺月が力一杯に両手を広げ俺の背中に手を回してくる。

抱き締めただけで満足している綺月に、自分の性欲が暴走しないかこれから不安しかなかった。