「お前、俺たちの仲間になれよ」

「…暴走族なんてカッコ悪い奴らの仲間になんて誰がなるかよ」


バイク乗り回して、喧嘩してるだけの程度の低い奴らと相成れるほど、自分は暇では無かった。


「じゃあ、俺と勝負しろよ」

「…今の俺にそんな時間も気力もない」

「お前が勝ったら、ちゃんとした店の割の良いバイト紹介してやるよ。
まぁ、向き不向きがあるから、お前に向いてたらの話だがな」

「…負けたら?」

「仲間になれよ」


ちゃんとしているのか確信はないし、信用出来るほどの関係性でも無かったが、その男の目は嘘をつくような目ではなかった。


「やってやるよ、その約束絶対守れよ」


勝つ自信はあった。

でも、決着は開始十分で決まった。


「俺の勝ちだな、仲間になれよ」


地面に叩き落とされ、ピクリとも動かない俺を見下ろしながら、聡は楽しそうに笑った。

聡は気持ち悪いぐらいに、強くて恐ろしかった。