割の良いバイトがあると高校の友達に紹介されたのは、後にあやしいブツを仲介する危険な仕事だったのだと警察に追い回されたことでやっと気付いた。

なんとか逃げ切った先で、取引主と遭遇しブツを置いてきたと話すと、狂ったように殴りかかってきた。

運良くこのタイミングが来たと思った。

殴りかかってきたから、俺は殴り返した。

日頃の鬱憤も込めて、全力で殺すつもりでやった。

だからお前も俺を殺すつもりで殴れ。

そして、俺を殺してくれ。

だけど、俺は死ななかった。

どうやら喧嘩は、それなりに強いことを今更知った。

死にたい、でも生きなければ、だけど死にたい。

それなら、いっその事誰か殺してくれ────


「お前、強いな」


そんな俺に声をかけてきたのは、聡だった。

聡は名もそれなりに知られているAgainの暴走族に入っていた。