いつしか居心地の良い場所に変わってしまったAgainは、同時に怖い場所にもなった。

奈都とAgainどっちかを選べと天秤にかけられた時、奈都をちゃんと選べるのか不安だったのだろう。

私は、カオルの苦難や葛藤に気付いた時、カオルのことを助けてあげられるのかと散々悩んでいた自分が恥ずかしくなった。


「どっちかを選ぶ必要なんて無いよ。
どっちも大事にできる」


私は、私の大事にしたいもの全部大事にする。

お姉ちゃんも、お母さんも、菜穂も、勉強も、全部。


「中途半端なカオルよりも、大事なもので溢れてるカオルの方が、カオルのお母さんもお父さんも絶対に好きだよ」


何を根拠にと思うかもしれないけど、親は子供を簡単に嫌いになったりしない。

お母さんが私とお姉ちゃんをちゃんと愛していたように、きっとカオルの両親もカオルのことを愛している。