Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

私はカオルに言いたいことが山ほどあった。

今のうちに全て言い尽くしてしまおうと思ったが、段々と強くなる雨にそろそろ耐えられなくなってくる。


「とりあえず、屋根のあるところ行こう」


私はまたカオルの手を取ると、屋根のある店に少しだけ雨宿りさせてもらう。

店内に入れば床も椅子もビショビショになって汚してしまうので外で雨が弱まるのを待つ。


「さっきの続きだけど、早く帰って奈都の誕生日を祝おう」

「俺に、祝う権利とかあんのかな」

「めでたいことを祝うのに、いちいち権利なんて要らないから」


さっきからずっとマイナスな言葉を吐き続けるカオルに、私は正直うんざりしていた。


「俺、奈都の誕生日祝ったことないんだよ」

「…今まで?」

「あぁ」


奈都はカオルとは血が繋がっていないと言っていた。

いつから二人は兄妹になったのだろう。

私は聞こうにもどこまで踏み込んでいいのか分からず、結局黙ってカオルの話の続きを待つ。