Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「風邪引くから帰ろう」

「一人で帰れ」

「でもどんどん雨も強くなってるし」

「いいから、放っておいてくれ」


カオルは私がさしてあげてた傘を手で払い除ける。

その衝動で、手から傘が離れ地面に落ちる。


「放っておいたら、カオルは楽になれる?」


カオルが楽になれるなら、私はすぐにでもここから立ち去る。

でも、そうじゃないでしょ?

カオルは、光のない目で小さく呟いた。


「死んだら、楽になれる」


この痛みも苦しみも、死ねばもう一生味わうことはなくなる。

その気持ち、私には痛いほど分かる。


「じゃあ、死ぬ?」

「……は?」


私はそう言うと、カオルの手を掴んで歩き始める。