「だけど、あなたの優しさに一番初めに付け入った大人は私だった」
母は私と目を合わせてはくれない。
自分の心の内を話していく度に、どんどん顔が下がっていく。
「美月が家を出た日、自分は母親として間違った育て方をしたのだと痛感した。床に散らばった参考書やノートが、美月をどれだけ縛っていたのか、こんな風になるまで気付かなかった」
お姉ちゃんが出ていった話をするのは初めてだった。
なんとなく気が引けて今まで聞くことすらしてこなかった。
「美月の代わりになると言った綺月に、もう一度母親としてやり直せるチャンスを貰ったのだと思った」
母は間違いに気付いていて、その間違いを正そうとしていた。
「でも、二度も間違えた。もう母親失格よ。
自分は子育てなんて向いていないと思った」
私が母の前でいい子を演じている中、母もまたいい母親を演じ続けていた。
でもお互い本当の自分を見せなさすぎて、気付いたらここまで傷ついてしまった。
「"死になさい"と言ってしまった時、すぐに後悔した。誠実でいなさいと教えた私が一番誠実ではなかった」
私の中に"ナニカ"がいたように、母にも恐ろしい"ナニカ"がいたのだ。
母は私と目を合わせてはくれない。
自分の心の内を話していく度に、どんどん顔が下がっていく。
「美月が家を出た日、自分は母親として間違った育て方をしたのだと痛感した。床に散らばった参考書やノートが、美月をどれだけ縛っていたのか、こんな風になるまで気付かなかった」
お姉ちゃんが出ていった話をするのは初めてだった。
なんとなく気が引けて今まで聞くことすらしてこなかった。
「美月の代わりになると言った綺月に、もう一度母親としてやり直せるチャンスを貰ったのだと思った」
母は間違いに気付いていて、その間違いを正そうとしていた。
「でも、二度も間違えた。もう母親失格よ。
自分は子育てなんて向いていないと思った」
私が母の前でいい子を演じている中、母もまたいい母親を演じ続けていた。
でもお互い本当の自分を見せなさすぎて、気付いたらここまで傷ついてしまった。
「"死になさい"と言ってしまった時、すぐに後悔した。誠実でいなさいと教えた私が一番誠実ではなかった」
私の中に"ナニカ"がいたように、母にも恐ろしい"ナニカ"がいたのだ。

