Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「それでも、私にとってお母さんは、私のたった一人のお母さんだから、苦しくても泣き叫びたくても我慢した」


お母さんの期待に応えたい、お母さんがいつか私を見てくれるまで頑張りたい。

その前向きな自分の考え方が、自分の首を締めていた。


「お姉ちゃんが家を出て行った時、小さく震えるお母さんの背中がずっと忘れられなかった。
今、お母さんを守れるのは私だけだと思った。
だからどんなに辛くても我慢してきた」


私が家を出て行ったら、お母さんは一人ぼっちになってしまう。

私がお母さんのそばにいないと、あまりにも可哀想だ。

そう心に決めても、身体は一緒に頑張ってはくれない。

身体から駄目になって、今度は心が駄目になって、何もかも全て嫌になった。


「だけど、ずっと感じてた。
お母さんの言う通り、私には何も無いって。
お姉ちゃんみたいにいつも輪の中心にいるわけでもないし、生徒会長をやるほど責任感も無い。
頑張ったらその分結果が出るほど私の頭はそんな単純では無かった。
私には、お母さんが求めてくれる勉強しなかった」


母の眉がピクリと反応する。