「それもあるけど、お姉ちゃんに話しておきたいことがあって」

「ん?なに?」

「実は、お母さんに会ったの」


私がお母さんと口にした瞬間、お姉ちゃんの動きが一瞬止まり、またなんでもないように紅茶を口に含んだ。


「道端で倒れて、今病院で入院してる」

「え?」


お姉ちゃんには耳に入っていなかったのか、目を見開いて驚いていた。

自分を限界に追い込んだ母のことをお姉ちゃんはまだ許せてはいなかった。

だから母の話は避けていたが、倒れたことは伝えるべきだと思った。


「私、お母さんとちゃんと話そうと思うの」


今まで普段のことを話すことなんて母とは一度も無かった。

でも、もう逃げたくない。

カオルが目を覚ます前に、私は母との関係を少しだけでもいいから修復したいのだ。