Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「捨ててないよ」


まだ捨ててない。


「逃げただけ。
お母さんから向き合うことに逃げただけ」


お母さんもそうでしょ?

私とお姉ちゃんから向き合うことに逃げてる。


「もう、逃げない」

「…綺月」


私は、ちゃんと愛されていると気付いたから。


「でももう少しだけ待って欲しい」


母と向き合う前に、他に向き合いたい人がいるの。


「必ず会いに来るから」


会いに来るなと拒絶されても、私は何度だってまた会いに来るから。

私はそう言い残すと、勢いよく病室から飛び出した。

「死になさい」と言われた母に一人で会いに来れたのも、私が普通の幸せを感じることが出来たのも、全部カオルのおかげなんだ。