Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「道端で倒れたんだよ、覚えてる?」


昨日看護師が道端で倒れていたと教えてくれた。

過労と栄養失調で三日間の入院が必要だという説明も受けた。


「私が家にいたら、お母さんの異変に気付けてたかな?…多分気付かなかったと思う」


母が、学校で私が倒れるまで体調が悪いことに気付かなかったように、私も多分気付かない。


「お母さん、私ちゃんとお母さんのこと見てなかった」


だから、すれ違った。

お互い何も見えてなかったから、何一つ気付けなかった。


「お母さん、私と話をしよう」


母の瞳から確かに涙が一粒零れた。

重力に逆らうことなく、凄い勢いで落ちていった涙が、母の手の甲を濡らした。


「私は、ずっとお母さんと話がしたかったんだよ」

「…今更、話すことなんてないわ」

「嘘だよ」

「…どうして嘘つく必要があるの?
あなたは私を捨てたでしょ?」


冷淡な言葉とは裏腹に、母の目からは涙が止まることなく零れている。