よほど疲れていたせいか、母は夜になっても目を覚まさず、今日はとりあえず家に帰るようにと担任に言われ、担任の車で家まで帰ってきた。
降ろされた場所は、当然私の家だった。
「明日学校を休む場合は連絡を入れるんだぞ、もしお母さんに何かあったらすぐに電話してくれ」
そう言い残すと担任はすぐに消えてしまった。
久しぶりに帰ってきた自分の家は、驚くほど何も変わってはいなかった。
玄関のドアを開けると、真っ暗の中手探りで電気のスイッチを探し、灯りをつけた。
私が一度カバンを取りに家に帰った時は汚かったリビングは、いつも通り綺麗に整理整頓されていた。
不必要な物は買わない母だから、リビングには必要最低限なものしか置いておらず殺風景だった。
それが温かみのある家とは縁遠くて嫌いだった。
何か食べるものは無いかと冷蔵庫を開けると、とっくに賞味期限が切れた弁当が三つ入っていた。
そういえば、母はどんなに忙しくても、買ってきた弁当やお金を渡すことは無かった。
何かしたら作ってくれていて、でも必ずと言っていいほど冷たかった。
冷たいご飯に嫌気がさしていたが、作ってくれるだけでも愛はあったのかもしれない。

