Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「学校側も、世間も、相手の方を批難するだろう。だって一條は、守られる側の人間だから」

「……守られる側…?」

「一度正しい道から外れた人に対して、正しく歩いてきた人達の目は厳しい。
一條は今までも正しく歩いてきたんだ。
だから、守られる側なんだ」


私は有名進学校に通って、そこで学年一位になって優等生として真面目に正しい道を歩いてきた。

それに比べ、カオルは定職にも就かず、夜の街をブラついている不良。

私がカオルの良いところを沢山知っていても、周りの人は知らない。

だから人は容姿や学歴で判断する。

どちらが守るべき側なのかを。


「相手のことを想っているのなら、一條は家に戻るべきだ」


担任の言葉が体にのしかかって重かった。

私がもし何かに巻き込まれても、それがAgainのみんなのせいじゃないとしても、指をさされ批難されるのは彼らの方だ。


「一條はちゃんとお母さんに愛されているはずだ。じゃないと何度も電話なんてして来ない」


愛されているはずが無い、勝手なことばかり言わないで。

担任の言葉に私は耳を塞ぎたくなった。

これ以上正論とまやかしを聞いていたくなかった。


「もし戻りづらいのなら先生が言って───」


私の耳にはもう担任の声は聞こえていなかった。

いつか母が、私やお姉ちゃんを本当に取り戻したいと思うときがきたら、母は彼らをどうするのだろう。

私は彼らの邪魔になるのではないか。

"正しい"が私の首をグイッと絞めつけた。