Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「テストの結果が悪い時だけ先に伝えていたのは、一條に期待している学年主任だ。
武田と仲良いから成績が落ちないか心配だって告げ口したのも学年主任だ」

「じゃあ先生は何を?」

「…俺は、一條の学校での様子を伝えていた」


私の様子…?


「一條が学校で楽しそうにしているのか、ただそれだけをいつも聞いてきた」


それを聞いた時、嘘だと素直に受け止められなかった。

あの母が、娘が学校で楽しそうにしているのかなんて気にするはずが無い。

勉強に支障が出るものはなんでも切り離されてきたし、実際私に話しかけてくれる時は勉強のことだけだった。


「一條が勉強を頑張っているのもちゃんと分かっていた。
テスト前はクマも酷いし、きっと親御さんが厳しい人なのだと薄々感じていた」


クマが酷いのバレてたのか…

先生って他の先生よりも適当な感じだけど、意外と生徒のこと見ているんだなと少し見直す。


「でも、電話で一條の話をした後、必ず"そうですか、安心しました"ってとても柔らかい優しい声で言うんだよ。
だから愛ある厳しさなのかと思っていたんだ」


母の柔らかい優しい声って、どんな声何だろう。

私はそんな母の声を思い浮かべて、信じられずに今度は鼻で笑った。