Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

私が病院に着くと、治療はすでに終わっていて病棟に母は移っていた。

教えられた部屋に向かうと、母の名札が貼られていた。

ここに母がいる。

私は意を決してドアを開けた。

病室に一歩一歩ゆっくりと足を踏み入れる。

私はベットで静かに眠っている母の顔を見て、声が漏れそうになったのを急いで手で口を押さえた。

久しぶりに見た母の顔は、驚くほどやつれていて、あの鋭い目つきでいつも堂々として立っていた母の姿は今はどこにも無かった。

その場から動けず、氷漬けにされたように固まっていると、誰かがドアを開けた。


「一條」


声がして、ゆっくりと振り返ると、担任が目の前にいた。


「…え?」


どうして、先生が?

どうしてここにいるの?

私は開いた口が塞がらず、間抜けな声を出した。


「一條、お前今どこに住んでるんだ」


混乱している私を置いて、担任は顔を顰めて口を開いた。

母親を置いて今お前はどこにいる、と担任の顔がそう言っているように聞こえた。


「家に暫く帰っていないのか?」


何も答えない私を見て、担任は深く息を吸ってからゆっくりと長く吐いた。


「少し話をしよう」


これは、罰だ。

私は担任の言葉にゆっくりと頷いた。