Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

その後、話が一通り終わると、一喜さんの車に乗って私はカオルの家へ帰ってきた。

車で二人っきりになった時、一喜さんは「気にしなくていい、本来なら俺らがどうにかしないといけないんだ」と優しい言葉をかけてくれたが、私はそれに返事すら出来なかった。

勉強をしてる時も、ご飯を食べている時も、皿を洗っている時も、お風呂に入っている時も、眠る前でも私はどこかうわの空で、どこにいるのか分からないカオルのことを考えて静かに眠りについた。

きっと、明日には帰って来る。

そう信じて眠ったが、一晩寝て起きてもカオルは帰ってはいなかった。


「お兄の夜ご飯弁当のおかずにしちゃお」


奈都はカオルがたった一日帰ってこないことに慣れてしまったのか、いつも通り飄々として弁当の準備をしていた。

その慣れが悲しく感じた。

きっと今日は帰ってくる、この家にまたズカズカと歩きながら「ただいま」と言ってくれる。

そう願いながら、その日を何度も繰り返した。

だけど、カオルは帰って来ず、一週間が経った。

カオルの行き場に心当たりは無いか、誰かが見たという情報は無いか、奈穂に聞いてみても分からないしか返ってこなかった。

あの状態で一週間も帰らないことが不安で堪らなかった。

まだ十月十五日にはなってない。

きっとその日が終わるとカオルは帰ってくる。

でも、それではダメな気がした。

カオルが帰って来るのを待つということは、また有耶無耶にして同じことが繰り返すということだった。

元のカオルに戻ることを、時間が経てばで終わらせてしまうのは、あまりにも酷な話だ。