Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「圧力をかけたいわけじゃない、でももう他にアイツを救える術が見当たらないんだ」


一喜さんは藁にもすがる思いで私に託そうとする。

長い長い呪縛から、カオルを解放してあげてほしい。

みんながそう思っていた。

私は向けられた期待に、ゆっくりと目を逸らした。

出来ないとは言えない状況に、声が詰まった。

私だって救えるならカオルを全力で救いたい。

だけど、私が出来るの?

まだカオルと会って一年も経っていない私が、カオルの力になれるとみんなは本気で思っているの?

出来ない、出来ない、出来ない。

あまりにもこの期待が重すぎる。


────チリン


その時、風鈴の軽やかな音が私の耳に入る。

奈都に貰って、私が溜まり場に持ってきてぶら下げた風鈴だった。

今は窓は締め切っていて、風なんて通っていない。

なのになぜか風鈴は揺れて音を立てた。