Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

だけど月日が流れる中で、カオルの家庭が少しずつ浮き彫りになっていった。

十月十五日は妹、奈都の誕生日だということに。

そして、その日は両親が亡くなった日だった。

一年に一度の特別な日だったけど、二人にとっては両親を失った最低最悪な日だったのだ。

その命日が引き金となって、九月から少しずつカオルは昔の出来事を思い出す。

両親が亡くなった日のことを思い出し、どうしようもないやるせなさで奇行に走っていた。

時が経てばいつかは、なんてことを言っている間に五年が経っていた。

だけど、カオルはいつまで待っても何一つ変わらない。

誰もカオルを救えない、誰もカオルに寄り添えない。


「諦めていたときに、俺たちの前に綺月が現れた」


……私?


「カオルが誰かにこんなに執着しているのを見るのは初めてだったんだ」


以前お姉ちゃんにも同じことを言われたが、現状カオルに避けられている私から見れば執着されている気はしない。

まだ不安げな私に、今まで黙って聡さんの話を聞いていた一喜さんが口を開いた。


「あの時、海で言った綺月ちゃんの言葉を聞いて、これは最後のチャンスだってなぜか思ったんだよね」


一喜さんが車の中で言ってた意味がようやく分かった。