Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「意味はあるよ、とにかく明日来てね」

「…分かった」

「そっちに一喜送るから、一喜の車に乗ってね」

「うん」


そう言われ、私は電話を切った。

思い返してみれば、九月に入ったあたりからカオルの様子が変だった。

奈都の前ではよく笑っていたカオルだったが、最近は奈都の前でも笑わなくなった。

笑わなくなったっていうよりかは、話さなくなったって言った方が正しいのかも。

カオルの中で、何かが起きている。


「綺月ちゃん」


その時、後ろから奈都の声がして、慌てて振り返る。


「ん?」

「お兄がまた迷惑かけてる?」


…迷惑?

奈都は確かにそう言った。

"また"迷惑をかけている、それは何度も迷惑になるようなことをやっているということだ。


「最近のお兄の目は、手がつけられない時の目だから」


一緒に暮らしている奈都は、カオルのことをよく知っている。

それをカオルがもし必死に隠そうとしていても、家族の奈都にはすぐにバレる。

だけど奈都はそのことをカオルに追求することは今までもしてこなかったのだろう。

だって人は痛いところを突かれると、どういう反応をとるのか先が読めないからだ。