Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

カオルは昔から"そういう人"だったとその日菜穂から昔の話を聞いた。

暫く姿を消したかと思えば、フラッとまた現れて「長ぇクソしてた」なんて冗談を言って帰ってくるような奴だったと。

正直何を考えているか分からないけど、カオルは縛り付けるような行為だけは聡さんが断じて禁じていた。

「縛り付けたらカオルはAgainを抜ける」と酒を飲んで少し酔っている聡さんが、以前口にしたことがあったらしい。

私にとって、その意味はあまり理解できなかった。

縛り付ける時、それが自分のためなのか、それともカオルのためなのかで話は変わってくる。

私の場合、母が私を縛り付けたのは、自分の理想像に近付けるためで、決して私のためではなかった。

でも、Againはカオルにとってもう一つの家みたいな場所で、その場所に縛り付けられるのは悪いことではない気がした。

それだけ、Againのメンバーがカオルを信用しているということにもなるし、なおさらカオルが抜けるという意味が理解出来なかった。

カオルが何を考えているのか、私には分からないことだらけだった。

それ以前に私はカオルのことについてちゃんと知ろうとしていたのかと自分に問う。

もしかしたらカオルの中にも、"ナニカ"が存在しているのではないか。

私はその日一日中カオルのことを考えた。