Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

その日から、私とカオルの間には確かな亀裂が入った。

私はカオルに話しかけなくなった。

家の中にいても、二人っきりになっても。

カオルが甘い匂いをつけて帰る度、私は余計なことを口走らないように息を止めた。

カオルも海に行った日以来、私に指一本触れなくなった。

私と二人っきりになると、必ずカオルから席を外した。

避けられているような気がするから、完全に避けているに変わった。

"好き"という感情は、私にとっては邪魔でしかなかった。

今までなら、何も考えずにしていたことが、好きと認めた瞬間、下心がバレないだろうか、また嫉妬や独占欲が顔を出したりしないだろうかと一旦考えるようになった。

自分ってこんなにも面倒くさかったのかと今更気付く。

そんな感情に振り回されていると、いつの間にか夏休みが終わり、二学期が始まっていた。

菜穂はあっという間の夏休みに一週間ショックを受けてやる気が削がれていた。

またしても、遊びすぎて宿題を疎かにした菜穂は、夏休みが終わる三日前に案の定私に助けを求めてきた。

宿題は計画的にやった方が良いとあれだけ念を押したのに、やはり聞いてはいなかった。