Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

カオルにとって私は、ただのそこらへんにいるような女でしょ?

ただ強いて違うところがあるというのなら、それはちょっと訳ありで面倒な女ってだけだ。

むしろ他の女の人よりかは明らかに劣っている。

私がそう聞くと、カオルは私の手を握る。


「俺は…」


カオルが何かを言い終わる前に、私は咄嗟に手を振り払った。

一緒にして欲しくなかった。

他の女の人達と一緒の接し方では触って欲しくなかった。

私はカオルにとって何者でもない。

彼女でも無いし、菜穂みたいに前から仲良くも無い。

他の女の人に嫉妬して、自分だけを見て欲しいなんていう独占欲を持ってもいい立場では無い。


「要らない、そういうの」


勝手に自惚れてしてしまうから、もう優しくしないでほしい。

一ミリたりとも期待なんてしたくない。

これ以上私の心をかき混ぜてほしくない一心で、私はカオルを拒絶した。

頭の中で考えていることは一度も口にせず、私は助けてもらったお礼を言うことも忘れ、カオルに背中を向ける。

私がカオルに出会って変わっても、カオルは私と出会って変わったりはしていない。

カオルと出会う前も、出会った今でも、カオルの女癖は直らないし、夜職を辞めることもしない。

そんなことは当たり前だ。

カオルの人生も、カオルだけのものなんだ。

嫉妬や独占欲が顔を出しても、決して私はカオルの彼女になりたいわけではない。

それでも私は、カオルの人生の一部に入りたいと願う自分がいた。

明らかに矛盾していた。

彼女になる気は無いのに、人生の一部に入りたいなんて、自分でも何を言っているのか分からないし、こんなグチャグチャな気持ちに振り回されて気持ち悪かった。

こんな自分がいることにも、私は幻滅した。