「カオルは、顔だけじゃないでしょ」

「え?」

「私は、別に顔が良くて好きになったわけじゃないから」


カオルの価値が顔だけなら、あんな風にみんなに慕われたりしない。


「そんなこと分かってるよ。
そもそも綺月は顔だけで誰かを好きになるような子じゃないもん。
私だって、喜んで応援したいよ」

「いや応援とかしなくていいから」

「でも、綺月には傷ついて欲しくないし、さっきだって殴られたばっかだし、カオルを狙ってる女沢山いるし何より怖いんだもん」

「私、あんな女達には負ける気しないけど」

「その負けん気の強さが、それ以上に怖い!
いちいち突っかかったりしないでよ!本当にいつか怪我するから!ていうかもうしてるし!」


菜穂は私にしがみつくように抱きついてくるので、暑苦しいと引き剥がす。


「ところで奈都は?」

「あーそこ、せっきと遊んでる」


奈都は雪希が持ってきた浮き輪に乗ってプカプカと浮かんでいて、何やら雪希と楽しそうに話をしていた。