私はかき氷をスプーンでザクザクと溶かしながらシロップ漬けになった氷を次から次へと口に運ぶ。


「別に彼氏にしたいわけじゃないし」

「え!?じゃあ綺月は何がしたいわけ!?」


私は何がしたいんだろう…

そもそもカオルに恋愛感情を抱いても、彼氏にしたいとかそういう欲求は湧かないんだよなぁ。

でも、強いて言うなら、私が出来ることなら何でもやりたい。

居候させてもらってるわけだし、辛い時に助けてくれたから、それなりに恩返しはしたい。


「あっ」


その時、横でバタバタしていた菜穂が何かに気付いたように動きを止める。

菜穂の視線を辿ると、そこには気だるそうに砂浜を歩くカオルがいた。

起きてからすぐに来たのか、髪の毛はセットされておらず、目にかかる長めの前髪を邪魔そうに手でかきあげていた。

私達以外にも徐々にカオルに気付き、みんなが駆け寄りあっという間に輪ができる。


「こう見るとやっぱりイケメンなんだよな」


ラフな格好が逆に新鮮で、知らない女の人達までカオルをチラチラと盗み見していた。