Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

相談する相手を選んでいる時点で、私はあの家に一度帰ることに誰かが賛成してくれるのを待っている。

誰でもいいから背中を押して欲しいのだ。


「俺は綺月ちゃんのしたいようにすればいいと思う」

「おい」


幸人の言葉に、私は分かりやすく顔を上げ反応する。

「でも」と幸人は後出しで言葉を付け加える。


「俺はそのことを美月さんにもカオルにも話す。
話した時点で本人達が綺月ちゃんを止めたとしても、俺は綺月ちゃん側に立ったりはしない」


好きなようにすればいい、でも決して背中を押すことはしない。

幸人の意見は、元を辿れば海斗と同じ意見だった。

自分でも、馬鹿なことを言っているのだと分かっている。

それでも、一人にしてしまった母が心配だった。


「ねぇ、綺月ちゃん」

「…なに?」

「傷ついた人の心は簡単に癒えたりはしない」


幸人の言葉に、私は静かに息を呑んだ。