Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「カオルは私のことは選ばないよ」

「え!何で!?」


こんな面倒くさい女、私が男だったら絶対選ばない。

家庭環境が複雑で自分の家にも帰れなくて、勉強ばっかりやってきたつまらない女、溜まり場に来る我が強い女の人を相手にしてるようなカオルが私を好き好んで選んだりはしない。


「そもそもカオルの好きなタイプじゃないしね」

「お兄の好きなタイプってどういう人?」

「んー、そうだなぁ…」


カオルがバイクの後ろに乗っけて消える女の人は、いつも甘い香水の匂いを身につけて、スタイルが良くて、化粧映えするような元が綺麗な顔立ちの人。


「私とは正反対な人」


カオルは私を選ばない。

私もカオルは選べない。

これから私がカオルを好きになってどんどん気持ちが持っていかれても、多分私はカオルを選べない。

溶け始めるアイスが、私の太ももにポタッと落ちた。

アイスみたいにこの気持ちがいつか溶けて無くなるなら、カオルに向けるこの気持ちを私は包み隠さず伝える。

でも、私がこの家を出て行くまでは、絶対にこの気持ちが何なのか追求もしないし、もしそれが自然と分かる事だとしても分からないフリをするだろう。

あぁ…駄目だ…

こんなことを考えている時点で、もう私はカオルに惹かれている。