「また明日来るから」


髪を食べようとしている綺月の髪を軽く撫でながら、俺は寝ていることをいいことに頬にキスをした。

奈都が家にいるのでカオルは帰ろうと立ち上がると、すぐ後ろに一部始終を見てしまったと言わんばかりの驚いた顔で菜穂が立っていた。


「カオル、あんた…」

「俺は帰るから、綺月よろしくな」


キスのことは一切触れず、不敵な笑みを浮かべる。

菜穂の顔が引き攣らせた。


「えー、マジ?」


気持ち良さそうに寝ている綺月と、不敵な笑う俺を交互に見ながら、菜穂は大袈裟に頭を抱えた。