Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

私は鞄を手にしてリビングを出ようとした時、母がやっと口を開いた。


「裏切り者」


母の小さく放った言葉は私の耳にもしっかりと届いていた。

足首を掴まれているかのように、力を入れてもピクリとも動かないような感覚が襲う。


「お腹を痛めて産んだのよ」


母がゆっくりと立ち上がる。


「出産費、入院費、オムツ代やミルク代、定期検診の費用、産まれただけで沢山のお金がかかる」


…苦しい、息の仕方が分からなくなる。


「一体ここまで育てあげるのにどれだけのお金がかかったか、あなた計算出来る?」

「…お母さん」

「そのお金、あなた返せる?」


そんなお金、勿論返せない。

我慢できずに涙が零れる。