Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

人は、ある程度は我慢が必要だ。

寂しいとかそばにいて欲しいとかそんな我儘を一方的には言えない。

だって困らせてしまうのが目に見えているから。

でも、もし本当に限界を感じた時には言ってみてもいいんじゃないかと思う。

壊れてしまってからでは遅いのだから。


「奈都、寂しかったら私が抱き締めてあげる」

「え?」

「いつだって抱き締めてあげる。
でも、それでも寂しかったら、ちゃんと言うんだよ」


奈都は不安そうな顔をする。


「大丈夫、アイツは奈都のこと大好きだから」

「…本当に?」

「見てて分かるよ、シスコンだなって」

「うん、ありがとう」


奈都は少しスッキリしたのか、いつもの笑顔を見せる。


「綺月ちゃんも、寂しかったらいつでも抱き締めてあげるからね」

「ふふっ、ありがとう」


奈都の優しさや無邪気さに救われる。

私もこんな風にもっとお姉ちゃんの前で笑っていれば救えたのだろうか。

いや、そんな単純な話では無い。

誰かの真似をしたところで、本心ではない笑顔を向けたところで誰も救えないことは私にでも分かる。