Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

その時、オーブンが焼きあがった音を立てる。


「うわ、美味しそう」

「綺月ちゃん、あれ取って!」

「これ?」

「違う違う、その隣の!」

「あーこれか」


カオルは椅子に座ってご飯が出来るのを静かに待つ。


「出来たご飯くらい取りに来たらどう?」


奈都が机に料理を並べながら嫌味っぽく言う。


「大黒柱は動かないんだよ」

「ねぇ、綺月ちゃん今の聞いた?」

「聞いたー、絶対モテないでしょ」

「残念ながら顔が良いからモテるんだよな」

「クラスの子がイケメンは三日で飽きるって言ってたよ!」

「誰だそんなこと言ったやつは」


そういえば、カオルと奈都がこんなに会話をしているのを見るのは初めてだった。

いつも夜遅くに帰ってきて最低な兄だなんて思ってたけど、普通に仲良さそうに話してて私はまた少ない情報だけで勝手に決めつけようとしてたんだなと反省する。