Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「ありがとう」

「いいから早く入れ、虫が入るだろ」

「お兄虫嫌いだからね」

「そうなの？」

「虫はちょこまかとうるせぇだろ」

「殺したら可哀想だから逃がしてあげようて言うのにいつも容赦なく殺すの」

「デカイのは逃がしてるだろ」

「大きさは関係無いでしょ！」


二人の微笑ましい会話に、私はやっと心が落ち着いてくる。

もう何度も出入りしているこの家は無性に安心感があった。


「今日はお兄が卵買い忘れたからオムライス作る予定だったけど、変更してドリアにしたんだ〜」

「ドリアとか作れるの？」

「簡単だよ！あんなのチーズ乗っけるだけだから！」

「嘘！もっとなんか乗ってるよ！」


奈都は私が来てくれて嬉しいのかウキウキで夜ご飯の準備をする。