「お母さんは、今まで私に何かしてくれた?」


気付くと、私は母にそう聞いていた。


「…は?」

「私に勉強以外の何かをしてくれた?
お母さんは、私のなに?完璧な人間を作る製作者か何かなの?」

「何言ってるの!してあげてるでしょ!
何不自由無い生活を送らせてあげてるでしょ!?」

「そんなの!お母さんじゃなくても出来るじゃん!」


ずっと内に秘めてた言葉が止まることなく口から次々と漏れ出す。


「そんなに完璧な娘が欲しいなら自分のクローンでも作れば?」

「親になんて事言うの!
どうしてそんな言い方するのよ!
お母さんはあなたに間違った道を進んで欲しくないから言ってるのよ!」

「間違ってるよ!だってその証拠にお姉ちゃんは出て行ったんじゃん!」


母の目から涙が零れる。

お姉ちゃんが家を出て行ったあの日以来、母が泣いてるところは見たことがなかった。