身代わり少女は主人を慕う

「ええ!有り得ない!」

志麻さんは、必死に否定した。

「うちの兄は、ああ見えて小心者ですからね。そんな大それた事なんて、できないですよ。」

「ふぅーん。」

あの亮成さんとだったら、音羽さんと並んで座っても、お似合いだと思うんだけどな。

「話は尽きませんけど、先に、お膳を置いてきますね。」

「お願い。」

志麻さんは、ニコッと笑うと、部屋を出て行った。


一人残された私は、また寂しくなって、将吾様の事を思い出していた。

「うた。」

ほらね、将吾様の声が聞こえてくる。

「うた、僕が見える?」

私は目をぱっちり開けて、鏡台の側にある小さな窓を開けた。

「将吾様!」

そこには、草むらの中に埋もれている将吾様がいた。

「はははっ。裏の方なら見つからないだろうと、やってきてしまったよ。」