身代わり少女は主人を慕う

「将吾なんて、忘れてしまえ。俺がいる。」

その瞬間、私は宗吾様を突き飛ばして、部屋に向かって走りだした。

「音羽!」

宗吾様の声だけが、耳に響いて、私は走っている途中で、その耳を塞いだ。

嫌だ。

私が聞きたいのは、将吾様の笑い声だけ。

他の人の声なんて、聞きたくない!


部屋の障子を開けて、私は鏡台の前に、倒れ込んだ。

鏡の中の私は、りぼんは曲がり、白粉を塗った顔も、グチャグチャになっている。

「うたさん?」

志麻さんが、私の側に寄って来てくれた。

「何かあったんですか?奥様達に呼ばれて。」

「志麻さん!」

私は、志麻さんの懐に入って、泣き崩れた。

泣いている途中、ずっと背中を摩ってくれた志麻さん。

なんだか、本当のお姉さんみたいに感じた。