「逢引き!?」

すると私の頬に、奥様の平手打ちが飛んで来た。

「婚約者のいる身分で、逢引きなんて!し、しかも兄妹で!」

もう一度叩かされそうになった私の前に、将吾様は立ってくれた。

「何をするんですか!」

「おどきなさい!将吾!」

「どきません!」

私の前で、将吾様と奥様が取っ組み合いの、喧嘩をしている。


「このはしたない娘に、分からせてやるんです!」

「逢引きなんて、していません!」

「だったら、何だと言うんです!」

その様子を見た私は、もう悲しくて。

涙が、ぽろりと零れた。


「まあ、お母さん。ここは一旦、落ち着きましょう。」

二人の間に、宗吾様が入ってくれた。

「確かに、夜遅くに男女が二人でいるのは、良くないな。」

「兄さん!」