身代わり少女は主人を慕う

「でも、抱きしめた感じが……」

「気のせいです。」

次に応戦したのは、志麻さんだった。

「い、嫌だわ、お母様。少し離れていた間に、私の事分からなくなったのかしら。」

私も戦った。

「何だか、声も違うような。それに、匂いも。」

奥様は、そう言って急に、私の匂いを嗅ぎだした。


「はははっ!」

なのに将吾様は、笑いだす始末。

何?将吾様は、笑い上戸なの?

でも私は見た。

その笑顔は、あの整った笑顔だった。


「やはり、母親は騙せませんね。」

将吾様は、正座に座り直すと、両手を前についた。

「申し訳ありませんでした。この人は、音羽の身代わりの、うたさんと言う方です。」

奥様は、私からそっと離れた。

「……どういう事?」

「どうもこうも、久保利の家の為に、音羽の身代わりを立てたのです。」