身代わり少女は主人を慕う

「……聞いていたのですか?」

「聞こえてきたんだ。何?兄貴に口説かれたのか?」

一度忘れたのに、また思い出してしまった。

「将吾様!」

「悪い悪い。」

そして見せてくれた、くしゃっとした笑顔。

あっ、これでさっきの事、完全に忘れたわ。


「で?志麻は、今まで兄貴にそんな素振りあったか、覚えてる?」

「さあ。私が見ていた限りでは、そんな事は……」

「となると、今までそんな素振りを隠していたのか、一旦離れて、音羽のいない寂しさを実感したか。どちらにしても、兄貴は要注意だな。」

胸がじーんとなる。

これよ、これ。

私が求めていたのは。

「将吾様。私の言う事、信じてくれるんですか?」

「ああ。うたの言う事は、信じるよ。」


うた!!

やばい、名前で呼ばれて、顔が赤くなる。