身代わり少女は主人を慕う

「分かりました。ついでに、使用人達の事は、何て呼んでいたのですか?」

「そのまま、”さん付け”で呼んでいらっしゃいました。」

「亮成さん、志麻さん、ですね。」

「その通りです、お嬢様。」

亮成さんにお嬢様と言われて、体が震えた。


もう、お嬢様の身代わりは、始まっているんだ。

そして左側の角を、曲がろうとした時だ。

急に亮成さんが、私の腕を掴んだ。

「声を出さないで下さい。奥様です。」

私は、息を飲んだ。

奥様、つまり将吾様と音羽様のお母様は、私達の方に来る事なく、去って行ってしまった。

「すみませんでした。さすがに、奥様が初めて会うご家族では、緊張なさると思いまして。」

「……ありがとうございます。」

確かに、助かったよ~!