身代わり少女は主人を慕う

「何?兄様、まだお嬢様の事を、想っているの?」

私達の間を切り裂くように、志麻さんが割って入った。

「そんな事はない!」

怒るように答えた亮成さんに、胸が痛む。

そっと亮成さんを見ると、相手も振り向いてくれた。

「ごめんなさい、私……」

何も分からなくて、と伝えたかった。

「……昔の、事ですよ。」

そう言って、背中を向けた亮成さんの気持ちを考えると、泣きそうになった。

きっと、身分違いの恋に、思い悩んでいたのに、違いない。


「さあ。そんな顔してたら、上手く行く事も、上手く行きませんよ。」

志麻さんは、私の頬を両手で、包んでくれた。

「はい。」

私は作り笑いをして、二人の前に立った。


「そう言えば、将吾様は次男坊だって言っていたけれど、兄さんでもいるのですか?」