「うたさん。」

すると将吾様は、私の手を握ってくれた。

「ありがとう。」


私の目に、将吾様が映って、将吾様の瞳に、私が映る。

このまま、将吾様といたいなんて。

図々しいのも、程があるわよね。


「すまない。女性の手を、急に握ってしまって。」

「あっ、いえいえ。」

女性の手をなんて。

畑仕事で荒れた手を、そんな風に言ってくれるなんて。

「……働いている手だね。」

将吾様は、私の手を摩ってくれた。

「薬を亮成に持ってこさせよう。ここにいる間は、手を荒れさせるような、そんな事はさせないよ。」

なんだか、急に恥ずかしくなった。

「あの……将吾様?」

私が手を引くと、いとも簡単に、するりと抜けてしまった。